現職参加、応募のタイミング

協力隊の現職参加を考えている方を読者に意識して、協力隊参加応募のタイミングについて書いてみたい。

先生であれば受け持っている学年が卒業するタイミングとか色々あるのだろうけど、それ以外の公務員でいえば、僕が考える限り、異動が見込まれる年度の前の年度に応募をして、その次の年度(本来であれば異動していたであろう年度)に派遣されるのが賢いだろう。

普通の公務員は3年くらいで部署異動を繰り返すわけだけれど、新しい部署に異動してすぐのときはやっぱりちょっと協力隊に参加したいなんて言いづらい。通常の人事サイクルを崩して協力隊に参加するということは、人事課様の仕事を増やしてしまったり、自分の職場の人にも引き継ぎだったり何だりで負担を増やしかねない。公務員の普通の部署は、通常この人は3年くらいいるものと想定して分掌を決めるものだからだ。職位によって異動サイクルは異なるし(上の人ほどサイクルが短い)、昇任試験を受けられる人は受かったら翌年度異動になるため、そういうのも含めて年度当初の仕事配分は取り決められるものだが。ともあれそんなもんで、まぁ今の職場に3年くらい勤めた後そのまま協力隊にスライド、というのが職場への影響は最小限で済むのでは、ということだ。

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あとは、今自分がキャリア何年目であるかも大事だと思う。あまりにキャリアが短いと(1、2年くらいだと)、派遣されても何ができるの?という問題とか、社会人としての常識が十分に身に付かないまま派遣されても派遣後の経験が充実したものにならないとか、そういう問題が生じる。

これは、自分より社会人歴が長い協力隊参加者もだいたい口を揃えて言っていたように思う。自分の経験上も、社会人として身につけるべき常識も微妙な段階で協力隊に参加している人を見ると、帰国後大丈夫かな、といらん心配をすることもある。もちろん派遣中も派遣中で何かと問題なのだが、社会人としての経験が不十分な中、誰も注意してくれない、誰も口うるさいことを言ってくれない裸の王様状態で2年間という期間を過ごすことの弊害を少し心配する。

だもんで、まともな職場で3年間は社会人を経験してからのほうが無難だろう。ただ、自分には既に一端の社会常識があるだとか、超一流の人材である場合は、この辺は心配しなくてもいいと思う。超一流である場合は、キャリアの差別化って意味でも面白いかもしれない。どこにいようと何をしていようと、すごい人はすごい。

もちろんただ一番は、自分が行きたいタイミングで行くことだ。いくら現職といっても、組織にお世話になっているといっても、本当にやりたいことがあるならやりたいことのタイミングを他人に選ばせてはいけない。自分が行きたいときに手を挙げることだ。後はそれを周りがどう判断するかだけの話。

応募したいと思った時が応募するべき時なのだ。僕はそのとき、自分の経歴にぴったりの案件がたまたまあった。親も健在で、家族の関係で心配することもなかった。協力隊の募集案件は毎回入れ替わり、いつのタイミングで自分にマッチする案件があがっているかわからない。家族の同意が得られるタイミングというのもあるだろう。だから、応募したい時にそういう条件が整っているのであれば、その時がその時なのだ。
※ただ、個人的には協力隊は家族の強い反対を押し切ってまで参加する価値があるとは思わない。意外に、実際そういう人は多いが。協力隊は、一部の人にとって、そういう惹き付ける魔力を持った体験なのだと思う。

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何らかの理由で、自分が参加したいタイミングで参加できない場合(内部選考に受からなかったり、入庁何年目以降じゃないと参加できないという縛りが厳しくて、それまで待っていられない人)、思いきって辞めてくる現職の人もいる。資格を持っていたり、また採用試験を受けてすぐに受かるだろうという見込みの人が多いように思い、個人的には思いきっていてすごいと思うが、これもまた手段ではある。

あと現職の人で、本当は辞めて協力隊に参加するつもりで、そう職場に言ったら休職して参加できる条例(自己啓発等休業の条例)を自治体がつくってくれたという事例も聞いたことがある。

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少し話は脇道にそれるし、現職だけに限らない話だが、キャリアを数年積んでからとなると、この晩婚化のご時世、結婚適齢期の中2年間を途上国で過ごすという選択に対し考えもあると思う。

※現職、現職以外を問わず、協力隊参加直前に籍を入れたケースも何件かある。1つのきっかけになるのだろう。シニアボランティアと違って家族同伴はできないが、家族一時呼び寄せ制度(家族の渡航費をJICA負担)はある。任国以外の国に年間20日旅行も許されているので、そこで落ち合うこともできる。

協力隊参加中、出会いはそれなりにある。事前国内訓練所でも同期は多いし(有名な話だが駒ヶ根マジック、二本松イリュージョンという現象が起こると言われている。詳細は検索してほしい)、派遣中も、派遣国、派遣地域にもよるが、日本人が周りにそれなりの数いることもある。現地人と結婚するケースもあるし(これは日本人女性と現地人男性パターンが多い)、他の国のボランティアはじめ現地人以外の外国人と知り合う機会もある。
派遣終了後も、派遣時期、派遣地域に関わらずOBOG会の繋がり等でカップルになる事例も多いらしく、総合して出会いには恵まれていると言えるだろう。

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結論はシンプルで、現職であっても、行きたい人が行きたい時に応募すればいい、というものだ。

ただ、個人的に強く思うのは、現職か現職ではないかを問わず、協力隊に参加する場合、その後どうしたいかという明確なビジョンを持っていてもらいたいと思う。協力隊参加がゴールであってほしくないと思う。