前後のストーリーを紡ぐ

協力隊について、今までいくつか記事を書いてきた。久しぶりにざっと読み返してみて、

・協力隊には色んな職種があって色んな人がいて面白い。多芸、多才な人たちの中に身を置くと楽しいし刺激になる(別に行政だけの話ではないだろうけど、社会に出て1つの組織に属しているとどうしても同じような人間ばっかり集まって世界観がとても狭くなる。そんな中協力隊のようなある意味尖った人たちの中に身を置くのは刺激になる)。

・現象参加をするのであれば、無給休職より有給の派遣で行くのがよい(できれば)。協力隊参加をゴールにしてはいけない。あくまで任期後のことも見据えた参加であるべき。

・現職で参加したい人は、参加のタイミングもできるだけ考えよう。当然組織側の都合もある。

・協力隊は次のステージのためのステップだと割り切るという考え方はありじゃないか?

・協力隊で得られる経験と、行政のようなドメスティックな業界で求められる能力は、時に矛盾する。

というようなことを書いてきたと思う。
私自身、復職して数年働いてみて思うのが、やっぱり佐賀県庁の方のこの文章は本質を突いているんだろうな、という改めての実感だ。
https://www.jica.go.jp/kyushu/story/ku57pq00000f9ww5.html

行政で一番大事で、一番求められるのが多いのもいわゆる守りの仕事だ。協力隊の経験は概して攻めの経験で、時に行政の仕事とすごく矛盾する。ベースにあるのは守りの能力であるべきで、逆ではない。守りの上に攻めの能力があるのであれば、攻めの要素が求められる部署であれば貴重な戦力になり得るだろう。ただそれもベースとしての守りのスキルがあるのが前提で、ベースがなければいくら攻めの要素が求められる部署であっても行政職員としてきちんとした戦力になるかは微妙だと思う。そんなことを、上で紹介した記事はよく表現されていると思うのだ。

現象参加の点でいえば、極めてドメドメな風土を持つ地方自治体という組織にあって、海外経験を積んで帰ってくることで逆に適応力を失ってしまうこともあるかもしれない。井の中の蛙は、井の中にいたほうが幸せだったということはありうるし、実際日本社会でずっと生きていくつもりであればそれは正しい選択肢だとも思う。新卒で協力隊に参加して、そのままほとんど海外にいるような人を見ていると、おそらくこの人はドメドメな日本社会で生きていくのはもう難しいだろうなと思うときがある。別に悪い意味じゃなくて、それくらい日本社会には特殊なところがあるということで、そこに馴染んで生きていくにはドメスティックな価値観のままずっと生きていた方がたぶん楽だし賢い。

でもシンプルな結論は、協力隊には、

・行きたければ行けばいい
・(できれば)協力隊の前後に自分なりのストーリーを紡き、ストーリーを繋いでいこう

別に参加の動機はなんだっていいと思うけど、前後のストーリーがしっかりしている協力隊参加は美しいと思うし、逆のパターンはそうでないと思うのだ。自分のことは置いといて、だが。