研修月間

だいぶ更新ごぶさたしてしまいました。
ブログの立ち位置の見直しもほったらかしで…

11月は研修月間でした。

(1)3年目研修

以前に3年目職員を対象にした、キャリアデザインのための研修があったことを書きましたが、
http://d.hatena.ne.jp/scoolforsaitama/20101017/1287327323

同じ3年目研修という位置づけで地方自治法地方公務員法の研修がありました。

どういった法体系の中で自分たちは勤務し、地方公務員として勤務する上で対内的に、対外的に、どういったルールを把握していなければいけないのか。勉強になりました。何より自分の勉強不足が痛感できました。

3年目研修に関連付けて、個人的に興味深いことは次の2点。

1つは、主査級昇任試験が大きく変わろうとしていること。

主査とは(たぶん)一般的にいう係長級の職位のことで、その職位にあがるためには今までは共通の試験に合格する必要がありました。その試験というのは二部構成で、一次が筆記で二次はプレゼンとか面接とか。

具体的にどう試験が変わるかはまだ明らかではないのですが、確からしいのは筆記試験の負担がどうやら減るらしいとのこと。

今までの筆記試験は結構範囲が広く、かなりの分量の暗記が必要と言われてます。ひたすら暗記?という関門が果たして主査級というグループリーダーとなるべき立場の人間の選抜に相応しいのか?ということからそういった方向性になったものかと(あくまで個人的な推測)。

実は3年目職員を対象にした全体的な研修は昨年度までは存在せず、今年度から新しく始まったもの。今回私たちが受講した地方自治法地方公務員法の研修受講、事後レポートの提出、及び提出したレポートで合格点をもらうことは、新主査級昇任試験の受験要件になるとのこと。

つまり昇任試験の筆記の負担を減らす分を、研修をしっかり受講させ能力開発させることで埋め合わせる、という発想のもとでの制度改編であると思われる。

個人的には(昇任を望むならば)今後受験しなければならない試験の負担が減るのは嬉しいなぁ、という気持ち。

一方でもう少し大きい視点で見るなら、組織としていかに職員の能力を担保していくか、という論点に注目。
(新主査級昇任試験の全容がまだ見えない以上なんともいえないところは多いけど)

(昇任したい人に対して)強制的に試験を受けさせ、その対策として勉強させることが組織の人材開発として正しいのか、それとも研修を充実させそれを強制的に受けさせレポートで事後効果を検証することで質を担保していくやり方のほうが効果をあげるのか。

今の時代ひたすら暗記がナンセンスなのはわかるし(何より個人的に暗記がキライ(苦手))、後者のほうが個人的には好ましいと感じます。が、レポートの評価というのは例えば択一式の試験と比べて客観的に評価するのが困難だし、適正に評価しようとすればするほど手間もかかる。

人は放っておけば怠けるのが当然だから、いかに継続的に自己啓発させるか、というのを担保する仕組みは難しい。身分保障が制度上しっかりなされている公務員であればなおさら。

動機付け、インセンティブの問題。公務員は、例えば一番わかりやすい給与での動機付けがほとんどできてないし。自分より能力がなくて怠けている人間が自分より好待遇、なんてことがなんら珍しくない世界ですからね。ムズカシイ。

埼玉県の人材開発に関しての公式な見解はこんな感じ。
http://www.pref.saitama.lg.jp/site/jinzaikaihatu/

この勉強会も職員による自発的な人材開発なので、立ち上げの際などにこのビジョンはしっかり読みました。この県の公式な人材開発ビジョンを踏まえて、自発性に基づく勉強会開催という形で県に貢献できればというマジメすぎる理想も持っています。

ビジョンの内容はホントにごもっとも。それを実現させていく過程がムズカシイ。だから自分でできることをやる。それが日々の仕事と自主勉強会。うーんマジメ?

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3年目研修に関連付けて興味深いこと2つめ。
研修中に講師の方がおっしゃっていた、事務職と専門職とについて。

お話によると行政の職種で事務職だけはなくなることがないらしいですが、専門職については時代の変化によってなくなることがあるとのこと。

今まで公務員であった職種が公務員でなくなるとき、その職種であった人は事務職として働きませんか?という話を打診されることがある。

それを確か「事務転」というらしいが(記憶あやふや)、専門職としてその仕事に誇りを持ってやってきた人からすると
事務職として働くことに抵抗がある方もいらっしゃるらしい、というお話。事務は所詮事務屋ですから…(自分は事務職です)

事務職の人、自分は法律を仕事にしているとか思ってませんか?
という問いかけ。

え、いや、確かに日々条例とか規則とか見て仕事してるし...
と思って誇り持ってやってる人は多いはず。

でも現実を見ると、いろんな職場に配属される可能性がある事務職は、良いほうに見るといろんな仕事を経験できる、幅広い分野に触れられる。悪いほうに見るといろいろやらされる、誰でもできる仕事を数年単位で異動してやらされているに過ぎない、とも言えないか。

公務員の中での専門職の方はもちろん、世の中の他の専門性を持った仕事をしている方々を見て、自分の今後を見据えてこのままいろんな職場回されて何も身につかないまま終わるのかな...という漠然とした意識を持った人は少なくないはず。
仕事において専門性を志向すればするほど、そう思うはずです。

もちろん事務職であっても自らのキャリアの中で自分の専門性を確立していく人もいることも確かだと思います。そういった人材を組織として育成していこうという動きがあることもまた確か。

一方で、少なくとも今の若手の中で、自分の中で確立したい専門性なりキャリアなりと、今配属されている職場での業務とのギャップを感じている人は多いことも確か。これは組織の一員として働く以上どうしようもないことかもだけど。

人事は、組織は自分をどう見ているのか?

それがなんとなくでもわかることが、いろんな思惑が錯綜する組織の中での処世術を身に付ける、てことになるのでしょうか。


(2)所属する部局での3年目研修

全体での3年目研修とは別に、所属する部局の人事担当主催での3年目職員対象の研修もありました。
人事担当主催、ということはそう、見られちゃって評価されちゃっているのですね。たぶん。

ちょうど入庁3年目というのは計画人事の対象とはなるので、グループディスカッションでの発言とかプレゼンの話しっぷりとか質問内容とか、いろいろ見られていたのだと思います。

研修の建前の目的は
研修を通して企画力なり説明力なりを身につけること、
だったかな。

普段そんな類の仕事(したくても)全くしてないのに一日で身につけられるなら苦労しないよ...という意見はさておき、研修としては結構練られたいいものだと思いました。

県の研修というと講義型でひたすら講師のお話聞いたりだとかが多かったのですが、今回は一日参加者主体で進み、その進行の仕方も綿密に組まれていてフォローもしっかり行き届いていて勉強になりました。

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(3)第15回自主勉強会

これも自分たちでつくる研修なので、ということで。何より自分たちのニーズに基づく自己啓発の機会が一番効果あると思いますし。

過去最高の21名の参加者をお迎えできた15回勉強会。参加者は自分と同じ部局所属の1〜3年目職員をメインの対象に開いたものでした。

これだけの方にご参加いただけたのは自分の職場のご近所さんの一年目の後輩の人望によるところが大きいです。感謝。

内容は、自分たちと同じ部局、部署でキャリアをスタートさせ今県の中枢でご活躍される先輩をお招きしてお話を伺おう、というもの。
(今の職場は、県の中での位置づけなど、いろんな意味でちょっと変わっているといえば変わっています)

ちょうど(2)で自分の部局の3年目研修の話をあげましたが、この部局は、組織構造上しょうがない面も大いにあるのですが、新採で入った職員が情報面、人脈面で孤立しがちな環境にあります。ちょうど(2)の研修の担当者の方々も同じ部局の先輩であるはずなのですが、自分は全員初対面ですし。

基本的に仕事は小さな所属内で完結してしまうため、それこそ人事は、組織は自分のことをどう見ているんだろう?というのも見えにくくなりがち。ともすればそれはモチベーション低下だったり不安につながる。

そこで今回の勉強会で、その所属出身で我々の実情もわかっていらして、かつ今本庁で重要な役割を担いご活躍される先輩方にメッセージをいただき、そういった現状に対し一石を投じよう、という趣旨。

行政が住民と協働して、より双方向性を重視した関係性の中で政策を形作っていく重要性が問われ久しいように、組織内でも一方通行的な姿勢はあまりよろしくないように思います。

例えば調査を行う側とデータを提供する側が組織内にあるとして、
単に調査やるからデータよこせという姿勢と、
こうこうこういう理由でデータが必要で、集めたデータはこういう風に還元されていくということを示しながら協力を促していく姿勢だと全然違う。

自分の今までの経験上、前者のパターンは多く見受けられる。自分の知識不足、経験不足などはもちろんありますけど。

自分が問題意識を感じるところに対してこの勉強会の枠組みを活かして一つの機会をつくり、その場に多くの1,2年目の後輩たちに参加してもらえた。

今回、大事にすべきはそこじゃないかと思ってます。何より大事にすべきは勤務時間外に快くご協力いただいたゲストのお2人、また参加者の皆さまへの感謝であることはもちろん。

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てかこれだけ研修の機会をいただいて自己啓発の時間をいただけること、すごくありがたいことですよね。

成果、還元しなくちゃ怒られますよね^^;